結局責任は…
アンフィールドで行われたPL17節リバプール対マンチェスター・ユナイテッド。リバプールが圧倒したこの試合。この試合がモウリーニョのラストゲームになるとは予想外だった。この試合の48時間後、ユナイテッドはジョゼ・モウリーニョの退任を発表。事実上の解任を表現していた。後任は暫定の立場でOBのスールシャール就任が決定。しかしこれで劇的にチームが変われる訳ではないだろう。
事実、選手から勝利への執着心などを感じられず、熱を感じられなかった。ここまでのプレーで評価できるのはデ・ヘア、フェライニ、マタぐらいだ。今シーズンは特に守備がひどく、すでに昨シーズンの28失点を超えている。ボールホルダーへの寄せが甘く、簡単にパスを回され崩されるシーンはよく見る。人数は揃っているし、モウリーニョの中ではゴール前にバスを止めているはずだった。しかしそのバスは機能を果たさない。バイリーはブライトン戦でのミス以降ほとんど出番がなく、チームで唯一モウリーニョサッカーをよく理解しているマティッチも動きが重く、スモーリングは判断力が甘い。これほど守備が決壊した中、デ・ヘアが孤軍奮闘。
攻撃陣も今季は散々だ。主砲ルカクはコンディションが整わず、動きにキレがなく、ポグバは相変わらず活躍が散発的で度々、モウリーニョとの対立が囁かれメディアで無駄発言も多かった。攻撃で重要な役割を担わなければならないルカクはポストプレーがままならず、起点がなくなるとサイドアタッカーも生きてこない。マタが奮起し起点として働くも、厳しい状況は変わらなかった。
故障したバスはもはや廃車レベル
今シーズン、苦しんでいる大きな要因の一つが守備の決壊だ。モウリーニョの代名詞でもあるゴール前に人数を置いて守備を固める戦術、バスを止めるとも言われる戦い方が大崩れした。やはり、W杯もあってか全体的に動きが重くなかなかコンディションが整わなかった。しかし、これは言い訳に過ぎずライバルたちはすぐにコンディションを整えていたのだ。
コンディションのせいにするのはよくないが、ボールホルダーと距離があり、簡単に崩される場面が数え切れないほどあった。しかもボールを奪えないとカウンターにも繋がらず、もはやこの状況になるとモウリーニョの戦術自体が崩壊を意味している。
そして、ボールを保持してもオフザボールの動きがなく前線はただボールを待つだけ。とにかく単調な攻撃を繰り返すだけで見ている者からすれば何一つ楽しくないだろう。夢も希望も感じられない。もはやファンは絶望を通り越していただろう。ここまでこれば誰もがモウリーニョ政権の限界を感じていた。代名詞のバスは修復不可能なまでに壊れていた。
補強とフロント
実際にはこの不振の前触れが夏からあったのだ。監督は一級線のセンターバックの補強を望んでいた。マグアイア、アルデルワイレルドなど多くの候補者がいたが一人も獲得に至らなかった。
その理由がフロントが現戦力で十分と判断したのだ。しかしこの判断には、大きな疑問が浮かぶだろう。ライバルたちと比べるとCBの全体的なレベルは見劣りしてしまう。しかも昨シーズンの途中に契約延長して今後を託したはずだったモウリーニョの希望を聞かなかった。もはや理解ができない。何のために契約を延長し、なぜ希望通りの補強をしなかったのか。
フロントの迷走がクラブの低迷を象徴しているようにユナイテッドは路頭に迷っている。そして、この状況の中、数人の選手と不仲を囁かれ、補強のリクエストに耳を傾けてもらえず、不振の責任を押し付けられる形で解任されたスペシャルワン。
ここ数年で一番希望を見せてくれたモウリーニョは今度はどこへ向かうのか。そして名門もどこへ向かうのか。彼らの未来とは…
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