息を吹き返した悪魔

ファーガソン退任を境に名門の誇りを失いかけていたユナイテッドがついに復活の兆しを見せている。昨年末まで率いたモウリーニョから暫定という立場でOBのスールシャールが今シーズン終了まで指揮することになった。この監督交代を境にユナイテッドは強さを取り戻した。
ファーガソン退任後、モイーズ、ファン・ファール、そしてモウリーニョと他クラブで確かな実績を残してきた監督にユナイテッドを託したがいずれもかつてのような成績を残せず、オールド・トラッフォードにはここ数年停滞感が漂っていた。そしてフロントはクラブをよく知る人物が最適だと判断し、OBにクラブの運命を託すことに。
12月22日のカーディフ戦がスールシャール体制の初陣となったその試合でユナイテッドは2013年以来の5得点で5-1と大勝。この試合では、ここまで本調子から程遠かったラッシュフォード、モウリーニョと対立し一時はベンチが定位置になりかけていたポグバらが活き活きとプレーしていたのだ。
そして戦術面でも大きな変化が見られる。前任者までは個人で崩し、個の力でフィニッシュまで持っていくのが普通だったが選手が連動した崩しを披露。目に見えて、選手同士の連携が磨かれ、受け手がボールを待つのではなく受けに行くという動きが見られ、見ていて面白みがあるサッカーを披露。ロッカールームの重苦しい空気を一掃し、選手たちの目にも輝きが戻ってきた。
圧巻だったのはCLで見せた諦めない姿勢だ。CLではベスト16のファーストレグでPSGにまさかのホームで0-2の完封負け。しかもこの試合でポグバが2枚のイエローカードをもらい退場。さらに追い討ちをかけるように直前のリーグ戦でエレーラ。サンチェス、マタ、リンガードを怪我で失い、マティッチ、マルシアルらも怪我で出場不可能だった。よってセカンドレグは、下部組織からガーナーやチョン、グリーンウッドを招集。しかも中盤のスタートにはペレイラ、フレッジ、マクトミネイと経験の浅い選手ばかりだ。しかもスタートからラッシュフォードに異変があった。直前のリバプール戦でタックルを受けた際から足首の状態が良くなく、普段しないようなボールのコントロールミスを連発。そんな中で、開始早々先制点を奪う。ケーラーの不用意なバックパスを奪いキーパーをかわして、決める。その後、ベルナトのゴールで追いつかれるもルカクがブッフォンのこぼれ球を押し込み、再びリードを奪う。
ピンチを迎えながらも決死のディフェンスでリードをキープし続けるユナイテッド。特に中盤の3人がパリのビルドアップを阻止。エムバペはデ・ヘアをかわした決定的なシーン以外ほとんど絡めず、終了間際にVARでキンベンペのハンドが認められ、ラッシュフォードが蹴りこみこれでアウェイゴールの差で見事な逆転突破を果たした。
伝統であるアタッキングフットボール、諦めない姿勢、ユナイテッドの伝統を知る男が帰ってきて、赤い悪魔の逆襲劇が本格的に始まろうとしている。
ただ、期待しすぎるのも良くない。課題にもどんどんと向き合う時が来るだろう。事実、守備陣は補強が急務でリンデロフ、スモーリングが序盤戦とは見違えるようなパフォーマンスを見せているとはいえ、全体的にまだまだ危機察知能力に欠けており、クリーンシートも少ない。デ・ヘアがいなければ多分だが今より、5失点は多く喫していただろう。途中就任だから責任は問うことが出来ない。しかし、指揮官としてどう向き合うのかは注目されるだろう。
スールシャール暫定監督。まもなく、正式就任が発表されるだろう。ユナイテッドは待ちに待った覇権奪回に向けて、大きな大きな一歩を歩みだした。
ファーガソンのDNAを受け継いだスールシャールがオールド・トラッフォードにかつてのような熱気を取り戻してくれるのか。ユナイテッドの未来は明るい。

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